2/27 シンクロ感

 恥ずかしながら、最近物忘れがひどい。特になかなか人名が出てこない。
 先日、知人と昔のヴェルディの選手のことを話していた。ひとしきり大物の話をした後に、中村忠のプレーはあれだけどヴェルディの雰囲気はあるんだよね、ジュニアユースといえば菅原智もそうだったね、栗原や長谷部はどうも桐蔭のイメージが強いんだよな、そうそう山口貴之とかいたね、そういえばあいつ…あのその…アモローゾとサテで組んでた…山城出の…ええと、ほら…。「石塚?」そう! ……とほほ。

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 まるで赤瀬川源平の「おっしゃることはわかります」状態である。どうやら、老人力を徐々に備え始めているらしい。僕も日進月歩で進化しているのだ。(飲酒が拍車をかける!)

 進化だけあって、物忘れ以外の新しい能力も身についてきた。人の話を聞くことが昔に比べて上手になってきたのだ。(昔に比べて、と相対的な書き方をするところが奥ゆかしいでしょう?)

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 選手と話していて、ごく短い時間なのだけど、精神がさらりと触れ合う瞬間がある。サッカーの話ではない。用意できているような話でもない。しかし、シンクロした刹那、顔が変わる。ぽとりと何かが落ちたような目、恥ずかしそうな口元、満足そうな表情。この選手はこの話がしたかったんだ、と心のどこかが応じる。

 今週、遠征に出かけて話した選手のうちの幾人かにそんな表情を見つけることができた。一人でも多くこの顔を引き出すことに僕の今年はあるんだな―そう感じることができた、僕にとって実りのある遠征だった。