1/22 懲りない魂とあきらめない魂

― 大物スリ“女銀次”御用、71歳「寄る年波には…」

 こんな見出しが新聞にあった。強盗花盛りの現代において絶滅危惧種に近いようなスリ、女銀次、71歳など食指をそそるようなキーワードが満載である。

 記事を読んでみるとこれまた面白い。はじめての逮捕は17歳、通算塀の中日数は11年4ヶ月、40年前に出産した娘とは数年音信不通。普通なら足を洗うことも考えるだろう。
 しかし彼女は懲りずに正月のとげぬき地蔵に足を運んだ。あたりを見回し、品定めをする女性のバッグに手を入れる。その瞬間、御用。そしてこんな決め台詞。
「寄る年波には勝てないねえ。次の出所は80歳かあ」

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 先日、オーストラリア・リーグに渡った元Jリーガーと話をした。彼は、普通だったらあきらめてしまうような困難を乗り越えてサッカーを続けている。彼は言う。
「どうしても満足できなかったんです。次の目標は…」
 僕はそんな彼の言葉をゆっくりと聞きながら、彼を動かす熱さと強さのありかを知る。

 懲りない魂とあきらめない魂。ベクトルが違う二つであっても、ともにそれだけを取り出すと、ぴかぴかに輝いていることだろうね。