2002年12月25日 ギラギラ

 先日、トライアウトの取材に出かけた。本来の開催日を不運な降雪によって延期になったツケを支払ってくれるかのように、国立競技場は好天に恵まれた。
 集まった選手はおよそ80名。10名ずつに分かれて、30分の試合が4試合行われた。

 初めてチームを組む選手たちばかりなので、あまりゲーム自体は期待していなかったのだけど、なかなかどうして。自分の将来にかける意気込みが、必死さが、全員プレーに現れていた。激しく、速く、強く。声もしっかりと出ている。倒れてもすぐ立ち上がる。魂のこもった素晴らしいプレーだ。モチベーションも高く、しかも均一的なものだから(みんな必死という意味)、目の離せない展開になった。

 このプレーだけを見ていれば、ものすごく特徴的とは言わないまでも、この選手たちがチームを解雇された理由が見当たらない。写真をとりながら、ピッチサイドを見ると、自分の出番を待つ選手たちが、気温を変えるくらいの熱い目線でピッチを見つめていた。

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 翌週、秋田豊の取材をするため、ナンバーのインタビュー記事を読んだ。その中で印象に残った言葉。
「最近はギラギラしている選手がいない」
 どうやら、トライアウトを見る限り、そんなことはないようだけどね。

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 でも、ギラギラってなかなか難しい。スマートな方が魅力的だしね。ただ、ひとつだけ言えるのはサッカーの世界ではギラギラがわりと必要だったりする、ということ。そして、そのギラギラが、締め切り寸前に燃え上がるどこぞのアーティストみたいにケツカッチンではなく、日常的にできるかどうかということがポイントなのだ。

 厳しい言い方になるけれど、日常的に、そのギラギラがありさえすれば、きっとトライアウトに参加せずにすんだのだから。