6/19 J1第14節 FC東京×名古屋 【味スタ】

 実に興奮した。スタジアムで生観戦できて本当に良かった。こんな試合がスタジアムには転がっているので、サッカー観戦はやめられない。

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 前半、特に20分過ぎまで、FC東京は名古屋にいいようにされてしまった。
 まず、試合が開始する直前まで布陣は3バックだったのだけど、フタを開けてみると右から海本幸、秋田、海本慶、中谷の4バック、角田と山口の2ボランチだった。

 名古屋はディフェンダーからスタートして、選手と選手の距離を均等に保ちボールポゼッションをしながら試合を進める。ディフェンスラインでもゆっくりとボールを繋ぎ柔らかくサイドを変える。

 対するFC東京は前線からプレスをかけて、高い位置でボールを奪って速い攻撃を仕掛けようと、ルーカス、鈴木、戸田、馬場の4枚が代わる代わるチェイスする。まあここが名古屋の狙いで、デイフェンスでボールを回しギリギリまでチェイスをしてくるFC東京の攻撃陣を引きつけておいてから、トップや中盤にタテパスを当てる。その時のFC東京の中盤は薄い。そのスペースを名古屋に使われ数的優位を作られてイニシアティヴをとられた。また、ウェズレイとマルケスが活発にサイドにも流れ、ディフェンダー陣4枚を最終ラインにはりつけその動きを助長した。

 なので、前半はどちらかというと応対が主となり、個人の能力で突破したりシュートを打ったりする単発的な攻撃しか出来なかった。市原戦の後半をそのまま引きずったような、悪い展開だった。


 後半、FC東京は前から一層強くプレスをかけるようになった。そしてややスタイルを変え、ルーカスが少し低めのポジションをとり、中盤に降りてきてドリブルを使いリズムを作るようになった。この動きがけっこうはまり、ひとつのタメのようなものが生まれた。ようやく金沢も上がれるようになった。サイドからの展開も出来るようになった。ただ、この時点ではまだ名古屋のポゼッション能力が上回っていて、追加点を奪われてしまう。

 ポイントは選手交代にあった。負傷の戸田、動きの鈍い馬場に代わり、梶山、阿部が入ることにより、名古屋がやや乱れる。マークの受け渡しがスムーズにならなくなり(システム変更のためか?)、運動量も落ちた。ルーカスのゴールはそんな中から生まれた。
 ゴールに向かって直線的なドリブルを仕掛ける。角田がぴったりついているのだけど、アタックできる場面で山口がタックルしてアタックするタイミングを失ったり、クリアボールが海本慶に当ってルーカスのまん前に出たりするという幸運も重なったけれど、ルーカスのゴールに向かう気持ちから生まれた泥臭いゴールだった。このゴールでFC東京が蘇る。

 そこで、満を持して宮沢が登場。このサテライト行きは十分に薬になったのだろう、プレーに軽さがなくなったし、今までいらないところで遠慮して中途半端なプレーをしていたのがどんどん前でプレスをかけ相手の芽を潰した。笛で止まってもすぐボールを動かしてリズムを崩さなかった。ミスをしまくっていたCKもまずまずの及第点。なによりも、宮沢はウラにもボールは出せるし、サイドにもはたけるから、リズムが作れる。それと、あまり声を出さないタイプだったのが、かなり声も出して味方を鼓舞していた。茂庭やジャーンに声をかけてラインを上げさせていた。今野と話しながら修正をしていた。決してそんなことができるようなタイプじゃなかったのだけど、本当にこの2ヶ月が辛かったのだろう。宮沢ファンとしては感激してしまった。

 そんな中、ショートコーナーから梶山が一人交わして(うまい!)入れたクロスを茂庭が決めて同点に。スタジアムのムードは最高潮となる。これで、あとは逆転のゴールを待つばかり。

 そしてルーカスがスローインを受けて反転し、反応できなかった(!)秋田の股間を抜いてから、インフロントでコントロールシュート。これは技術の高い、素晴らしいゴールだった。ルーカスはやはり1トップではっているより、2トップでやるか、トップ下のような位置があっている。個人的にはこのゴールでルーカスへの信頼は出てきた。

 しかし2-0をひっくり返したこの日のFC東京。今年で一番いい試合だったことは言うまでもありません。

 
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 名古屋は本当に巧い選手が多い。きっと強化費はFC東京の倍くらいあるんだろうなあ。惜しむらくは、ベテランが多いゆえの運動量の低さだろうか。