5/16 J1第10節 FC東京×広島 【味スタ】

 広島は東京V戦で観た時よりも、随分と洗練されていた。ワンタッチでの展開もよくトレーニングされているし、ポイントとなる場面での攻守の切り替えは市原並みに速い。運動量も豊富。(後半30分で息切れ! これが最後まで続いていたら結果はまた違ったかも知れない)チアゴも負傷が癒えてきたのか戦術的な意味でのポストプレーが幾分かできるようになっていた。
 ただ、東京V戦と変わらないのは課題であるフィニッシュ。

 前半、広島は小村、リカルド、吉田の3バック。
 怖いFC東京の石川と徳永は吉田と服部がケアした。服部の背後に石川が出てくると吉田が流れ、ファーサイドには駒野が入ってカバー。中央に3バックが絞った時には両ウィングバックが引いてきてカバーをした。この連携と受け渡しは流麗で見事だったのだけど、ほんの一瞬マークを見逃した前半37分にケリーが頭でゴールを決めた。不条理さが実にサッカー的だった。

 後半からは、フォーメーションを4バックにした。これは、より攻撃的にしたのだ、と個人的には思う。ディフェンダーの間隔が15mほどの4バックにしたことによって、ものすごくコンパクトになった。たまにカバーが入ったりもしたけれど、今日のFC東京には一発のサイドチェンジがないから大外はケアしなくてもいいということもあるのだろう。

 そのため、息切れする後半30分まで、ワンタッチプレーとフリーランニングが乱舞するコンパクトな中盤は広島が圧倒した。後半25分ごろ大木を投入。確かに息も絶え絶えになっているFC東京にもう一枚トップを当てるのはロジカル。しかし、この大木がビルドアップで何度かミスを繰り返し、広島のリズムを崩してしまう...。

 やはり教科書的な印象を拭えないけれど、それに気持ちがプラスアルファした内容のあるゲームを広島は見せてくれた。
 
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 FC東京。
 広島のサッカーの質が高かっただけに、収穫を見出すのが難しい。強いてあげれば、こんなに低調な試合でもホームで負けなかった、ということになるだろうか。

 しかし、攻守の切り替えが遅い。特に攻撃の際の動き出しが遅いことが気になる。昨年は、宮沢にボールが入った時、ケリーにボールが入りそうな時にはすでに動き出しが始まっていた。だから、攻撃のイニシアティヴや相手の背後もとりやすかった。
 翻って今年はどうなのか? どこからスタートして、どこで楔を打つつもりなのだろうか? 今野、浅利のドイスボランチは確かに安定している。梶山の足元がいいのはわかった。ルーカスもまだまだ軽いけど足元ならさばくようになった。しかし、どこが攻撃の起点になるのだろうか。誰に入れば動き出してもいいのか。このあたりに問題があるようだ。

 せめて、もうすこし選手を固定してほしい。
 コンディションの良い選手を起用する、というのが原監督の意図なのかも知れないけれど、試合においてのメンバーがここまで定まらないと、コンビネーションの練成は望めない。コンビネーションが未成熟だとオートマティックなビルドアップは生まれない。

 地域の住民として、本当に応援しているのだけどなあ...。