4/17 J1第6節 東京V×広島 【味スタ】

 オズワルド・セザール・アルディレスは、ついにスタメンから森本を外した。さすがにフィジカルが出来上がらないこの年齢で、8日間で3試合はつらいというのもあるのだろう。ただ、個人的には森本のスタメン起用が、チームを崩れてしまったひとつの要因だと思っているので、これは今後に向けての吉兆だと見ている。
 ちなみに、森本がまったく機能していないために崩れたという意味ではない。チーム全体に影響するムードの問題。それに、このままスタメンで得点を取れずにいると森本も潰れてしまうし、サブに回された選手も潰れてしまうだろう。


 森本に代わった平本。ここで結果を出さなければいけないところなのだけど、ウラへの気持ちはずっと持ち続けるも、前半は足下にボールがつかないし、周囲との連携もまずかった。後半になると徐々に動きも良くなり、前線が平本、飯尾、大悟、平野となった最終の局面では楽しめる展開も生まれた。もっと使い続ければ、平本は良くなっていくだろう。


 僕のお気に入りの大悟は、中盤をダイヤモンドにしたトップ下で後半の頭から出場したのだけど、ちょっと気になる部分があった。本来であればトップ下でゴールに絡む動きをしなければならなかった。しかし、その場所ではプレッシャーが強かったためほとんど仕事はできず、試合途中に自ら山田と相談して右サイドハーフにポジションを変わってしまった。それからは機能し始めたのだけど、このチャンスは活かさなければいけなかった。彼にとって一番良い薬はゴールのはずだから。


 さて、自慢の中盤は、最初はウーゴ、平野、山田、小林慶のダイヤモンドではじめ、後半から大悟、平野、山田、小林慶に、そして後半途中から山田、平野、大悟、小林慶と移り変わった。そして山田が戸川に交代してからは、林が上がってきて大悟、平野、林、小林慶の台形に中盤は変わった。

 もちろん、ポゼッションはできた。しかし、単に持たされただけのポゼッションだった。というのは、広島はタテへのボールに対するプレスが異常に速く集中していた。そのため東京Vの選手はボールを中盤で受けても前を向けない。ディフェンダーにボールを戻したり、安易に横パスを出したりというチョイスしかなかった。有効度のごくごく低いポゼッションを展開していた。これでは、効果がある攻撃なんてできない。中盤は東京Vがポゼッションしているように見えて、広島がイニシアティヴをとっていた、ということだと思う。ゲームパターンを読まれたということだ。


 東京Vは行き詰った感がある。これはアルディレス監督自身の課題でもある。そして、想像していたとおりこの課題に対する答えは用意されていないようだ。
 さあ、どうする?

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 広島は一昨年以来、2年ぶりの観戦となったが、随分と様変わりしているなというのが最初の印象。あの頃は久保も藤本も上村もいたものね。

 もうひとつの印象は、教科書っぽいサッカーをしているなということ。
 小野監督は理論派なうえに、協会にずっと絡んだ仕事をしてきた。だから、2002年代表の薫陶を受けた感のあるチームになっている。
 トップに当ててボランチがサイドに展開するワンタッチプレーや、サイドチェンジ、中盤のポジションチェンジ、前線からのプレスなど、よく訓練されていて小気味が良かった。東京Vにボールは持たせるけど、危険なタテパスは出させないというプレスの仕方は実に有効で、これは小野監督の戦略勝ち。

 問題はフィニッシュだろうか。そこそこチャンスは作っているのに工夫と人材が足りない。途中出場のチアゴも、負傷上がりなのか動きはよくなかった。これでは中盤は作れても、なかなか得点ができそうもない。
 指導者にしろ、選手にしろ、トレーニングにしろ、戦術にしろ、日本サッカーの進捗具合を体現しているようなチームだけど、フィニッシュが決まらなければ勝てないのは当たり前で、中断期間にここの精度をどれだけ上げられるかが、監督のテーマとなる。今後を期待。