3/27 ナビスコ杯 FC東京×鹿島 【味スタ】

 五輪予選から戻った、茂庭、石川、徳永、今野が全員スターティングに顔を連ねた。あの試練を乗り越えてきた選手たちがどんなプレーを見せてくれるのか、あまりにも離れていたためにコンビネーションはどうなのか、実に楽しみな試合になった。

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 まず石川は離れていたブランクをほとんど感じさせないほど機能した。高いボールキープ力を活かして、石川にボールが入ると他の選手もスッとスペースやウラに動き出す。攻撃の選択肢がどんどん増える。石川はすんなりチームに入り込んだ。彼は本当にクレバーな選手だと思う。あとは中に切れ込んで左足シュートの精度をもっともっともっとあげること。

 徳永については少し問題が残ったように思う。ボールを受けた時に、はたいて前へ出るよりも、一人でなんとかしようとドリブルで中央に切れ込むことが多かった。石川が中盤で持ったときに追い越せるチャンスが多くあったにもかかわらず、追い越す回数があまり多くなかった。ウィングバックから、久しぶりの4枚ディフェンスのサイドバックに変わったので、戸惑いもあるだろうし、しょうがない部分もあるんだけど、両サイドに2枚ずつあるサイドの数的優位がウリのチームなんだからね…。

 今野は戸惑っていた。試合開始当初、ボランチの宮沢と今野を横に並べるのではなく、宮沢が前目で今野が後ろ目という構成を組んだ。宮沢をもう少し前線に近い位置で使いたい、中盤の底は運動量のある今野で十分ケアできるはず、という原監督の考えはよくわかる。しかし、これが機能しなかった。
 今野は勇気を持って前に出て相手を潰すという良いプレースタイルがあるんだけど、1枚ボランチの場合、ディフェンスラインとの連携が出来ていない限り、中盤の底から前にプレスに行くと、そこがポッカリ空いてバイタルエリアになってしまう。最初の失点は今野がボールホルダーを潰しに行った時に、ディフェンスラインが連動せず中盤の底に野沢と深井の二人の選手がフリーになっていたことが大きな原因となっている。(まあ、寄せているのに当らない徳永も良くなかったけど)
 この失点から、今野は中盤の底を埋めることに注意し、持ち前の運動量を発揮したプレーが陰を潜めてしまった。また、前半の途中からあわてて宮沢も残るようになったけど、この中途半端な修正によって宮沢が前に出にくくなった。(宮沢には注文があるけど、長くなるのでまた今度)

 ただこのディフェンスの連携の問題は「だから悪い」ということではない。逆に、課題はここにあったということがしっかり浮き彫りになったので、とても良かったのではないだろうか。今野が馴染んで、ラインとの調整が良くなったときには、より攻撃的なサッカーになるように思う。

 茂庭もすんなり機能した。後半40分ごろから、どんどん前線に上がるようになったのは、五輪で少し成長した証拠かもしれない。


 ルーカスについては、前を向いた時に足元が上手いのはわかるけど、ポストは飛んでいるだけで競っていないし(クロスは競っている!)、足元に入ったポストも処理にもたつく。ケリーが戻ると突然爆発するのかも知れないので、それまで評価は保留するけど、センターフォワードとしては正直きついなあと思っている。ただ、気持ちは入っていたけれどね。
 また阿部とルーカスの2トップの実効性が低く、途中交代で出てきた馬場が良かったので、ケリー不在時は阿部かルーカスのどちらかを馬場とタテに並べた方がいいと僕は思う。
 いずれにしろ、来週の東京ダービーまでに、選手起用を含めてどんな修正ができるのか、原監督の腕の見せどころ。楽しみにしましょう。

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 鹿島は、平瀬が目立った。以前から足元が上手かったんだけど、より一層上手さが増したうえに、横幅が大きくなったように見えた。どんどんサイドに流れて基点を作っていた。
 ただ、チーム全体としては出来が良かったとは思えない。少ないチャンスをしっかりとモノに出来る、その意識の高さは見事だと思うけど。まあ、それが何度もチャンピオンになったことのあるチームなんだろうね。その威厳を感じる。

 それからファビオ・ジュニオールもいいね。今年のブラジル人って、いい選手が多いように思う。