3/22 東京V×柏 【味スタ】

 アルディレス監督は、磐田戦でデビューした15歳の森本をスターティングで使ってきた。
 そこまで騒がれる選手なのかどうか、個人的にもプレーぶりを現場で見たかったので、その意味では期待通りだった。
 森本は、確かに15歳という年齢を考えると将来が楽しみな素晴らしい選手だった。ボールタッチはソフトで、ワンタッチでのコントロールがうまいし、切り替えしたりトップスピードからピタリと止まれるような柔らかさもある。
 しかし、J1のスターティングに名を連ねるフォワードとしては、運動量といい動きの質といい戦術眼といいまだまだ全然物足りない。まだまだ時間が必要だし、結果が出せるまでサブで使ってあげるべきだと思う。
 そんな森本をスターティングで使わなければならないほど、東京Vの台所事情は苦しいのかと思うと、昨日のチーム全体の出来もなんとか理解できる。それほど、東京Vの出来は悪かった。

---*------*------*------*------*---

 東京Vはボール・ポゼッションを標榜していたはず。なのにボールがまったく動かない。パスが繋がらない以上に、人が動かない。それに選手と選手の距離がよくない。かなり遠いか、近すぎる。動かないでボールを足元で要求しても、そこを通すのはいくら林や小林大のようなキックの名手であっても至難の業である。
 そんな中、ウーゴがいろいろなところに走り回って顔を出し、自分が動いた後にスペースを作る。しかし、そのスペースに誰も入らない。中盤も動かなければ、トップも受けに来ない。

 後半になってから、ウーゴの動いたスペースを小林大が意識的に使いはじめた。前線にも絡めるようになる。また小林大がスペースを埋めに中に絞ると、右サイドが空き、そこに柳沢が出てこれるようになる。詰まっていた水道管が通った。
 即効性の効果があり、何度か小林大のところでチャンスが生まれた。しかし、小林大はどうも最後のチャレンジに行くイメージが希薄で、ペナの中でボールを受けてからほんの一瞬逡巡する。本来だったら先に仕掛けられるのに、イニシアティヴが相手ディフェンダーに移る。小林大の課題はここ。かなり期待している選手だけに、なんとかここを解消して欲しい。

 東京Vの状態は決して良くない。昨年は、この状態でも平本や山田や三浦が唐突にスーパーなゴールを決めたから勝ってきたけど、それがなくなるとこんな試合をしてしまう。

 人が動かない―。
 以前からそうだったけどアルディレス監督のチーム作りの上で一番の課題となっていることなので、本人も十分にわかっているはず。その課題を克服するノウハウをシーズンオフに仕入れることができたのか。彼も手腕の真価を問われることになるだろう。

---*------*------*------*------*---

 柏は、指示もあったのだろうけど、東京Vのラインを下げようと、ディフェンダーのウラを山下がずっとうろうろしていた。その動きが実に鈍すぎて、ディフェンダーがボールをトップに当てようとしても、いつもオフサイドポジションにいるため、タテへのビルドアップが出来ない。後半に修正されたけど、いくらなんでも…。
 変わって後半から投入されたゼ・ロベルトのゴールへ向かう動きがとても良かった。ゼ・ロベルトと玉田の2トップの方が魅力があるように思うのだけど。