3/18 U-23日本×U-23UAE 【TV】

「強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強いのだ」

 啓太が言った言葉が選手の気持ちを表現していた。
 しかし、そんな思いを覆すような、内容もある素晴らしい試合だった。

 ともかく、今日のベンチに入った20人の選手、今回は招集されなかった選手、山本監督を中心としたスタッフの方たち、そして大勢のサポーター。みなさんの勝利です。
 みなさん、おめでとう!
 ああ、ビールが旨い。うん。

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 中東のサッカーは旧態依然として変わらないだろうし、ここまでもつれることはないだろう、とそう思っていた人たちは大勢いたことだろう。僕をはじめとして。
 しかし、日本サッカー界がかなりのハイスピードで進化している間に、中東のサッカーも進歩していた。いい勉強になった。

 僕ほどではないにしろ、選手やスタッフにしても想定外のことが多かったと思う。特に下痢。10年間の指導者生活の中で何度も中東やアフリカでの大会を経験している山本監督やスタッフが用意周到に準備する中で。ましてや空港のトランジットルームでベンツやBMWが売られているお金持ちの国UAEで。そして、日本ラウンドでのまさかの敗戦。

 そんな息が詰まるような混乱と奇禍を、チームがひとつになって乗り越えてきたという事実。それが成長という名前になって、選手たちの鋼のエンブレムに刻印された。
 とてつもなく大きな収穫だった。
 これで、この選手たちは大きく伸びるだろう。

 所属チームに戻って、その成長の証を僕たちに示してくれるのを楽しみにしよう。

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 ちょっとだけサッカーの話をすると、やはりフラットな4枚には1トップ2シャドー気味の3トップが合う。中央にギャップを作りやすいものね。
 そして、その構成を演出した平山。本当に素晴らしい。疲れているのだろう、今日は足元がもたついていたけど、ポストプレイヤーとしては正直なところ国内でも有数だと思う。課題はスタミナとトップレベルでの経験。森本のようなタイプは今までも多く出てきたけれど(レッズの9番とか)、平山のようなタイプは今までにない。これからが本当に楽しみである。
 日本にアテネを引き寄せたのは大久保と阿部。素晴らしい仕事だった。
 そして、この6試合を通じての日本のMVPは誰がなんと言っても今野。今野の活躍を抜きにして、この結果はなかった。いい選手をFC東京は獲得したね。今野と宮沢の中盤は実に楽しみだ。
 徳永の右サイドも僕としては良かった。やはり、あのポジショニングの広範囲さ、抜群のスピードとスタミナ、高い攻撃力と守備力。日本の右サイドは実に堅かった。石川のドリブルも魅力なんだけど、できればもう少し前目のポジションじゃないとね。

 それと余談。
 那須のヘディングによる先制点のときに、ベンチの前まで飛び出てジャンプする闘莉王を見て
「おいおい、頼むからジャンプはやめてくれよー」
 とつっこんだのは、浦和のトレーナーと僕だけではなかったと思うのだけど。

 なにはともあれ、今晩は飲みすぎに注意ですよ。