3/6 U-23日本×U-23UAE 【TV】

 鼓動が高鳴る。息苦しくて喉から心臓が飛び出してきそうだ。試合が進むごとにレフェリーのジャッジに不満を覚える。不安や恐怖が仄かな期待と混ざり合って胸の中をぐるぐると渦巻く。

 85分間のパーフェクトなプロローグのあとに、鬱積した気持ちを全て昇華させてくれるような泥臭いゴールが生まれる。追加点。山本監督の涙。
 見事なまでにサッカー的な不条理とこの上ないカタルシスが折り重なった、これぞ最終予選――という素晴らしい試合だった。

 よく勝ってくれた。僕ももらい泣きしてしまった。

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 負けない試合を行う。その宣言どおりに、1戦目同様に山本監督は右に徳永を配置した守備重視のシステムで戦い、少ないチャンスを狙った。

 ありがたいことに、フランス人監督の美学だったのか、自信があったのか、UAEはラインをかなり高くあげて自分たちのサッカーを貫いてくれた。
 その高いディフェンスラインに、平山が楔を穿ち、田中と山瀬がそのギャップを狙って飛び出した。これがまずフラットなディフェンスラインを疲弊させた。

 後半、出ると必ず結果を残す高松が疲れ始めたUAEの両サイドにできたスペースに走りこむ。徐々に、中盤に穴が空き始める。そこで松井の登場。中盤のスペースも大きくなっているため、松井のキープ時間も増す。UAEのディフェンスラインはずるずると下がり、足も止まるようになったのが、後半30分過ぎ。
 想定したゲームプランどおりになった。山本監督もしめたと思ったに違いない。あとは言わずもがな、である。

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 もちろん課題もある。でも、今日はそんなことを考えなくてもいいのではないだろうか。それほど価値のある1勝だったと思う。

 これからは日本ラウンド。この大きなヤマを超えた選手とスタッフは自信をつけて成長したし、ピッチも環境もいい。問題はないだろうと僕は思っている。怖いのは油断と過信だけだろう。